臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
XII.癌
内科領域の固型癌の特殊な治療法
251.癌免疫療法の適応と効果
漆崎 一朗
1
Ichiro Urushizaki
1
1札幌医科大学・第4内科
pp.2664-2665
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218792
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癌の免疫療法は本来,癌の特異抗原や関連抗原を標的とした治療を意図したものであり,Mathéにより急性リンパ性白血病に対し,Mortonらにより悪性黒色腫に対して始められた.当初はBCGを中心としたものであり,その後10年余の間に,非特異的免疫促進剤として,数多くのものが世に出されてきた.
BCGやCorynebacterium parvumなどの微生物やその成分,溶連菌製剤,キノコの成分,合成または発酵によってえられる小分子化合物などであるが,これらのすべてが癌細胞に対しcell-mediated cytotoxicityを誘導する抗癌免疫機構に基づく免疫療法剤と呼んでよいかどうかには疑問もあるが,免疫賦活剤あるいは免疫調整剤として,癌患者の低下した免疫能を回復ないし亢進させて,ひいては癌に対する特異的免疫の誘導を企図するものである.最近,これらの薬剤は腫瘍-宿主関係を修飾する物質として一括してBiological Response Modifiers(BRM)と呼ばれるようにもなってきている.
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