講座
腫瘍と免疫(9)—悪性腫瘍の免疫療法
漆崎 一朗
1
Ichiro Urushizaki
1
1札幌医科大学第4内科
pp.837-842
発行日 1980年9月20日
Published Date 1980/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203012
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はじめに
すでにのべてきたことから,癌細胞には特異抗原があり担癌生体はこれに何らかの免疫応答を示していることは確かであるといえる。しかし,すべての癌細胞に特異抗原が証明されているわけではなく,またすべての担癌生体に免疫応答が発見されているわけではない。したがつて,ある腫瘍に特異抗原が存在しないとするならば,このような腫瘍に本来の意味での免疫療法はありえないのである。副作用がすくない,とくに白血球の減少が防止されるという報告があるが,それが免疫学的機序によるものでない限りは,免疫療法の効果として論ずることはできない。
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