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癌免疫療法の効果
佐治 重豊
1
1岐阜大学医学部第2外科
pp.364-366
発行日 1995年4月1日
Published Date 1995/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902304
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免疫学的異物排除機構を利用した癌免疫療法は夢の癌治療法として脚光を浴び,その成果が期待されて登場した.すなわち,実験動物を用いた腫瘍の完全退縮,免疫担当細胞によるin vitroでの傷害活性増強作用やvivoでの生存日数延長などのすばらしい抗腫瘍効果は,作用機序も明確で,ヒト癌に対しても同程度の治療効果が期待されていた.しかし,ヒト癌の多くは自然発生癌で異物として認識可能な腫瘍関連抗原の存在は否定的であり,またヒトは免疫学的には雑種のため,同一の免疫反応による抗腫瘍効果を普遍的に期待することは困難である.
ところで,実地臨床で認可されている癌免疫療法はPSK,OK-432,lentinanなどの非特異的免疫賦活剤を用いた治療が主体で,宿主介在性抗腫瘍効果に依存した抗癌療法のため,生体防御機構が荒廃状態に近い末期癌患者に適応するには若干の問題がある.一方,バイオサイエンスの進歩により免疫担当細胞による抗腫瘍作用が細胞間情報伝達物質,サイトカインにより解明可能となり,癌微小環境におけるサイトカインの増減と治療効果との関連が注目されている.
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