臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
II.神経・筋疾患
慢性疾患の治療とケア
28.筋萎縮性側索硬化症
萬年 徹
1
Tohru Mannen
1
1国立病院医療センター・神経内科
pp.2130-2131
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218569
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症例
65歳男,1980年3月頃から何となく食事が円滑にのみこめないのを苦にするようになった.間もなく言葉が明瞭でなく,家人からしばしば聞き返されるようになった.耳鼻科医から内科的疾患であることを告げられ神経内科受診.舌の萎縮,構語・嚥下障害,下顎反射亢進,小手筋萎縮,四肢筋のび漫性の萎縮と線維性筋攣縮,四肢腱反射の異常な亢進があり筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断された.1981年になると球麻痺症状が強くなり,流動物の摂取のみが可能であり,それもゆっくりでないと食べられない.1982年になるとしばしば痰の喀出が困難となり,呼吸ができなくなるため,急患としてたびたび来院したが,1982年5月気管切開を行った.食事は鼻腔ゾンデによっていた.同年6月からレスピレータを装着することとなった.1983年3月頃から気管支肺炎を繰り返したが,同年5月,急性心不全のため死亡.
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