Japanese
English
特集 筋萎縮性側索硬化症—その基礎と臨床
筋萎縮性側索硬化症患者の療養問題
The task of caring for patients with amyotrophic lateral sclerosis
豊倉 康夫
1
,
萬年 徹
1
,
矢吹 とし
1
Yasuo TOYOKURA
1
,
Toru MANNEN
1
,
Toshi YABUKI
1
1東京大学医学部脳研神経内科
1Department of Neurology, Institute of Brain Research, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.360-364
発行日 1977年4月10日
Published Date 1977/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904754
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はじめに
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は数ある難病のなかでも最も重篤な疾患の一つである。しかし,いかなる治療的試みやcareも無駄だという医師側の諦めは,患者側にとって救いがたい絶望以外の何物も与えないであろう。むしろ,適切なcareと患者に対する暖かい励ましによって積極的に患者を助け,有意義な精神活動とコミュニヶーションの可能な生活をできるだけ長くすることが最も重要であり,これをあえて治療の成功と見做す立場をわれわれはとりたい。以下に述べる療養指導は,そのような前提と目的をもって書かれたものである。このような問題について正面からとり組んだ論文は,従来きわめて少ない1,2)。
本症患者の療養問題には,患老の家族や病床付添人,医療費,病院の看護体制等々,さまざまな社会的・経済的問題が密接していることも当然であるが,ここではその問題にはふれない。同じく本論文の範囲外としたものに,末期患者とくに呼吸麻痺患者に対する長期レスピレーター装着をめぐる重大な問題がある。これについては,別の次元で真剣にうけとめて議論をつくすべきことであろう。また,本症の薬物療法については他書に譲り,ここでは,もっぱら患者のcareに問題をしぼって述べることとする。
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