今月の主題 肝硬変と肝癌
肝硬変の代謝異常とその対策—肝癌との関連から
ビタミン
武藤 泰敏
1
,
森脇 久隆
1
Yasutoshi Muto
1
,
Hisataka Moriwaki
1
1岐阜大学医学部・第1内科
pp.1522-1523
発行日 1983年9月10日
Published Date 1983/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218424
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肝細胞癌(以下肝癌と略)におけるビタミン代謝異常に関する最近の知見の中から,ビタミンAならびにB12に関するものを取りあげる.前者は肝癌組織の局所はビタミンA欠乏状態を示し,かつ癌胎児性の性格をもつ細胞内ビタミンA結合蛋白が出現するというもので,これらの知見に基づいて合成ビタミンA誘導体(レチノイド:retinoidと総称)を用いた肝癌の化学予防(chemoprevention)の可能性が検討されようとしている.一方後者は,肝癌患者血清中に高ビタミンB12血症および特異的なビタミンB12結合蛋白が出現するというもので,新しい腫瘍マーカーとして肝癌診断面での役割が期待されている.
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