負荷機能検査・30
ビタミンKとビタミンK負荷試験
木下 忠俊
1
,
安部 英
1
Tadatoshi KINOSHITA
1
,
Takeshi ABE
1
1帝京大学医学部第一内科
pp.683-690
発行日 1982年6月15日
Published Date 1982/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911570
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
1974年,Stenfloら1),次いでNelsestuenら2)およびMagnusson3)らによるプロトロンビン中のγ—カルボキシグルタミン酸の発見は,血液凝固におけるプロトロンビン,さらにビタミンK依存性凝固因子(表)の作用機構の解明に,大きな貢献を成した,むろん,これは,それまでに積み重ねられたこれら凝固因子の蛋白質化学の研究成果や,その活性化に関与する他の諸因子の同定,ビタミンK欠乏症やビタミンK拮抗作用を持つ経口抗凝固剤服用時に現れる不活性凝固因子の性質,蛋白合成機構の解明などを基盤として成り立った業績であることは,言うまでもない.このγ-カルボキシグルタミン酸残基はリボソーム上で凝固因子前駆体蛋白が合成された後,そのN末端部に限られる特定のグルタミン酸残基のγ位にCO2が取り込まれることによって生成されることが明らかになり,このγ-カルボキシル化反応にビタミンKが必要であることがわかった(図1).さらに,γ-カルボキシグルタミン酸残基はそれを含む凝固因子のCaイオンとの結合と,Caイオンを介してのリン脂質膜への結合に必須であることも明らかにされた.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.