誌上シンポジウム 医学教育を考える—より優れた臨床医の教育のために
研修医を指導して感じる卒前教育の問題点
岩崎 栄
1,2
Sakae Iwasaki
1,2
1長崎県立成人病センター多良見病院
2前:国立長崎中央病院
pp.666-670
発行日 1983年4月10日
Published Date 1983/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218243
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今日の医学教育は依然として,あまりに細分化し,専門化された極端な専門医指向型の医学生を誕生させている.その結果としての,ややもすれば人間性を失わしめた特殊な知識,技術偏重の医師(technician doctor)の養成となり,もっとも必要とされる患者の問題を適切に解決できる能力を持ち合わせないものとなっている.そして,社会からは,人間性を求める医学教育の必要性が当然のことながら要請されている.また幅広い基本的なプライマリ・ケア教育が求められてきている.
このような医学教育の流れの中にあって,筆者の病院では,臨床研修病院の指定を受けた当初から,プライマリ・ケア教育への学習・実践を教育研修の一大目標として今日にまで至っている.そして,将来への地域医療への積極的推進役のかなめともなるべき若き医学徒を育成することを目的としてきたわけである.
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