誌上シンポジウム 医学教育を考える—より優れた臨床医の教育のために
プライマリ・ケアからみた卒前教育の問題点
鈴木 荘一
1,2
Shoichi Suzuki
1,2
1鈴木内科医院
2日本プライマリ・ケア学会
pp.478-482
発行日 1983年3月10日
Published Date 1983/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218200
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私は医学部卒業後1年のインターンを終えてから,基礎医学としての生化学と臨床医学としての内科学と二足の草鞋を履いた研修生活ともいえる6年を過ごしてから開業し,実地医家として間もなく22年になる.この実地医家の医療が即プライマリ・ケアという考え方には異論もあると思うが,わが国のプライマリ・ケア学会の創立が1963年(昭和38年)2月に誕生した「実地医家のための会」の有志が母体になったことを考えるときに,実地医療とプライマリ・ケアとは深い連りがある.医学の進歩と医療需要の高度化から,医師の専門医志向が強まる中で,アメリカ医師会の要請によるMillis委員会レポート1)からプライマリ・ケアが発展した経過をみれば明らかである.
さて,私はプライマリ・ケアを単なるファースト・エイドを取扱う医療や,単なる1次,2次,3次に区別する第1次医療だけを考えずに,非常に幅広い包括的なケアとして捉え,保健・医療・福祉を統合する方向で,人や人々に近接した,継続性のあるケアを実践するのがプライマリ・ケアだと考え,そのような観点から卒前医学教育の問題点に言及したい.
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