今月の主題 癌治療の最前線
化学療法
ヌードマウスを用いたin vivo抗癌剤感受性テストの意義
久保田 哲朗
1
Tetsuro Kubota
1
1北里研究所付属病院・外科
pp.1004-1005
発行日 1982年6月10日
Published Date 1982/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217784
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ヌードマウス可移植性ヒト腫瘍を用いた実験的化学療法は1975年Povlsen & Rygaard1)の報告に端を発し,当初は個々の患者の癌組織を移植しそれぞれの腫瘍の感受性をあたかも細菌の感受性試験のように行おうとする試みがなされた.しかしながら,初回移植率が40〜50%であること2)や,継代株を樹立して感受性試験を行うまで数ヵ月を要すること3)が明らかとなり,現在のところは臨床材料を直接感受性試験に用いる方法は谷らの報告4)を除くと広くは行われていない.
一方,樹立された継代株を対象とした抗癌剤感受性試験は筆者らの成績3,5)を含めて各施設からの報告があり,米国National Cancer Instituteでは,L-1210,P-388などのマウスの腫瘍を用いた1次スクリーニングの次にヌードマウス可移植性のヒト肺・乳腺・結腸癌の代表株を用いて2次的スクリーニングを行うシステムを組み立てている.代表株によるスクリーニングにおいて問題となるのは,多種多様な組織型を有する各臓器癌が同一の抗癌剤感受性を保持しているか否かということである.
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