連載 ちょっとサイエンス
胸腺のないヌードマウスが人類に貢献する
牧 智子
pp.678
発行日 1991年7月25日
Published Date 1991/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900378
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マウスという動物は,基礎医学を含む生物学研究に貢献していることでよく知られている。この5月15日付の朝日新聞にも,受精卵の段階でマウスに組み込まれた「人工遺伝子」が,大人になってから白血病を引き起こすウイルスの働きをブロックし,発病を抑えることに成功したという記事が載っていた。同じような人工遺伝子を使う手法で,将来はエイズを抑えることも考えられるという。マウスは現代の医学研究にとってなくてはならないものである。
そのマウスには,遺伝的な突然変異による各種の系統が数多く存在する。それらは各系統の特性を損なうことがないように,特別なセンターにおいて維持・保存されている。なかでもヌードマウスは,研究用マウスの中でもとくに最近注目を集めている系統である。
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