今月の主題 狭心症とその周辺
治療
ACバイパス手術の適応
伴 敏彦
1
Toshihiko Ban
1
1小倉記念病院・心臓血管外科
pp.651-653
発行日 1982年4月10日
Published Date 1982/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217715
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
狭心症の外科的治療法である大動脈-冠動脈バイパス手術(aorto-coronary bypass,ACバイパスと略す)は,本邦においても着実にその地位を占めつつある.麻田らの報告によれば,1980年度には,1,235例のACバイパス手術が行われ,全心臓手術の約1/10を占めるに至っており,冠動脈造影法の普及により,さらにその数は増加するものと思われる.実際筆者らの施設でも,最近では年間200例余の体外循環症例の1/3が虚血性心疾患の手術である.
しかし虚血性心疾患は,冠硬化症を原因としているものであり,ACバイパス術を行っても,将来の冠動脈硬化症の進行によって,あらたな病変の出現が起こりうるものである.したがって,ACバイパス術はあくまでpalliative operationであり,radical operationではないことを銘記することが肝要である.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.