今月の主題 狭心症とその周辺
治療
バルーンカテーテルによる冠動脈拡張術
山口 洋
1
,
細田 泰之
2
Hiroshi Yamaguchi
1
,
Yasuyuki Hosoda
2
1虎の門病院循環器センター・内科
2虎の門病院循環器センター・外科
pp.654-659
発行日 1982年4月10日
Published Date 1982/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217716
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I.内科医の立場から(山口 洋)
外径の漸増するカテーテルを狭窄病変部に挿入し拡張しようとした試みは,Dotter, Judkins(1964年)1)により下肢動脈ですでに成功を見たが,Gruntzigは先端にバルーンを付けたdouble-lumen balloon dilating catheterを考案し,はじめは下肢動脈から2),次いで冠動脈の器質的狭窄に試み,その成功例を報告した(1977年)3).
カテーテルを経皮的に挿入し動脈狭窄部を修復する技法であることから,Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty(略してPTCA)と名づけた4).その後,この技法は欧米各地で試みられ,ACバイパス術にかわり得る新しい冠血行改善術として注目されてきたが,実際は,その成功率,適応条件(患者の選択),それ以上に,合併症の問題で1つの壁に突き当たり,その功罪が真剣に検討されねばならない現況である5).
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