今月の主題 感染症と免疫
非特異的防御機構
補体系
稲井 眞弥
1
,
赤垣 洋二
1
Shinya INAI
1
,
Yohji AKAGAKI
1
1大阪医科大学・病態検査学
pp.234-235
発行日 1982年2月10日
Published Date 1982/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217623
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19世紀末,補体は血清中に存在し抗体とともに殺菌または溶菌にあずかる易熱性の物質として発見された.補体に関する研究の著しい進歩により.補体はC1(C1q,Clr,C1sの3つの亜成分からなる),C4,C2,C3,C5〜C9の9つの補体成分,11種類の補体成分蛋白,補体の活性化やその生物活性に対する制御因子(inhibitor),およびalternative pathwayの反応にあずかる蛋白などにより構成される反応系であることで明らかにされている.
補体はclassical pathway,alternative pathwayと呼ばれる2通りの経路で活性化される.classical pathwayは抗原抗体複合体,肺炎双球菌のC多糖体とCRPの複合体,ブドウ球菌のprotein AとIgGの複合体などにより活性化され,C1,C4,C2,C3,C5,C6〜C9の順序で反応がすすむ,alternative pathwayはザイモザン,グラム陰性菌内毒素のリポ多糖,グラム陽性菌の細胞壁などにより活性化され,C1,C4,C2の反応段階を経ず,C3より直接,反応がすすむ.このalternativepathway系には,C3〜C9の補体成分以外にB因子,D因子,プロパージンも関与し,C3b inactivator,β1Hグロブリンが活性化を制御している.
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