今月の主題 臨床医のための免疫学
免疫機構の生物学
補体—その活性化と制御
稲井 眞弥
1
1大阪医科大学・病態検査学
pp.390-394
発行日 1990年3月10日
Published Date 1990/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900102
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補体系は動物の新鮮血清中に含まれる20種類近い蛋白質によって構成されている反応系で,感染防御,免疫反応,炎症など生体にとって重要な反応にかかわっている.補体系は主として抗原抗体複合体によって活性化されるが,この場合の反応経路をclassical pathway(古典経路)と呼ぶ.また補体はパン酵母の細胞壁であるザイモザンなど微生物由来の多くの物質によって活性化され,このような物質による活性化の経路はalternativepathway(第2経路)と呼ばれる.補体系の蛋白は補体成分,第2経路の反応にあずかる因子および補体系の活性化を制御する種々の制御蛋白によって構成されている(表1参照).赤血球や白血球の膜蛋白の中には補体活性を制御する作用をもつ蛋白があり,これら細胞が自己の補体によって傷害されることを防いでいることがわかってきた.
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