今月の主題 臨床医のためのわかりやすい免疫学
免疫反応の調節と制御
補体の活性化とそのコントロール
稲井 眞弥
1,2
1大阪医科大学病態検査学
2㈲新医療企画
pp.2024-2026
発行日 1992年11月10日
Published Date 1992/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901858
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ポイント
補体系は活性化されて,貧食作用の亢進,殺菌,溶菌反応など免疫反応や炎症に関連する生物活性を表す反応系で,補体系の反応は次のようにコントロールされている.
1)血清中にはCI INH,C4b結合蛋白,H因子,I因子およびP因子が存在し,補体系の反応が制御されている.これら蛋白によってC1の活性化,C3転換酵素(C4b2a,C3bBb)の形成や解離失活,C4bやC3bの分解が制御されている.
2)赤血球などの細胞膜上にはCR1,DAF,MCPおよびCD59などの制御蛋白が存在する.これら蛋白の作用によって,細胞上のC3の分解が進み,またC3転換酵素の解離失活が促進され,さらに膜上でのC5b-9複合体の形成が阻止される.この結果,細胞は自己の補体による傷害から守られ,また自己と非自己が識別され,異物は速やかに排除される.
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