境界領域
リウマチにおける補体系の研究
園崎 秀吉
1
,
鳥巣 要道
2
Hidekichi SONOZAKI
1
1東京大学医学部整形外科学教室
2国立がんセンターウイルス部
pp.993-1000
発行日 1968年11月25日
Published Date 1968/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904006
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はじめに
慢性関節リウマチは原因不明の疾患である.その基盤には免疫学的機序が関与していると想像されつつも,まだ確証はえられていない.いわゆる自己免疫疾患と呼ばれるものの多くがそうであるように,リウマチにも「特異抗体」らしきガンマーグロブリンの存在は知られているが,これが病因に何らかの関係があるとの証左は認められず,その意味では「自己抗体」を検出しようとする試みは失敗に終つているといえよう.
一方,免疫反応として総称される各種の生体反応は,抗体によつて惹起されるものではなく,補体系や線維素溶解系,その他の酵素などが主役となつて発現されるもので,血清抗体はこれらの反応の一つのひきがねであるにすぎない.したがつてリウマチを含め,自己免疫疾患と呼ばれるいくつかの疾患で,もし免疫反応に類似したいろいろの症状が認められるとすれば,まずこれら補体系,線維素溶解系などの動態を検討し,これらが免疫反応の時と同じような動態を示すのか,また異なるとすればどの点が異るのかを明らかにすることが非常に重要である.幸い補体学は近年その進歩が著しく,これを臨床面に応用して病態の解析に当ることは特に意義深いものがあると思う.
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