今月の主題 免疫反応と臓器疾患
補体と細胞性免疫の欠如
補体欠損症と疾患
稲井 眞弥
1
1大阪医科大学・病態検査学
pp.866-868
発行日 1985年5月10日
Published Date 1985/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219759
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補体系を構成する蛋白の欠損や機能不全がなんらかの疾病によってひき起こされたものでない場合,先天性または原発性補体異常症という.現在すべての補体成分蛋白について先天性の異常が存在することがわかり,また制御因子の異常症としてClinhibitor(C1INH)の欠損や機能不全を伴う遺伝性血管神経性浮腫(hereditary angioneurotic edema;HANE),C3b inactivator(I因子)の欠損症,properdin(P因子)欠損症およびβ1Hグロブリン(H因子)の欠損症が報告されている.先天性補体異常症はそれぞれの蛋白の遺伝的な合成異常によって起こり,遺伝形式は常染色体性共優性遺伝と考えられるものが多いが,遺伝形式の不明確なものもある.
なお種々の疾患によってC4,C3などの補体成分蛋白が低値を示す場合があるが,先天性でなくおそらく疾患によって起こったと考えられる補体成分の欠損症としてはC1q欠損症がある.
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