今月の主題 感染症と免疫
非特異的防御機構
NK細胞
押味 和夫
1
Kazuo OSHIMI
1
1東京女子医学大学・内科Ⅰ
pp.230-231
発行日 1982年2月10日
Published Date 1982/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217621
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NK細胞とは
natural killer(NK)細胞とは,抗原によってあらかじめ感作されることなく,試験管内で標的細胞を障害するリンパ球である.ヒトNK細胞は細胞質に小顆粒を有する大型のリンパ球で,末梢血白血球中に数%含まれ,その臓器分布をNK活性でみると,末梢血や脾臓に多く,リンパ節に少なく,骨髄や胸腺には認められない.ヒトNK細胞は非付着性,非貪食性で,表面免疫グロブリンは陰性であるが,抗T抗体で認識される抗原やIgGのFc部分に対するレセプターを有し,ヒツジ赤血球と弱い親和性を持つものが多い.これらの成績から,NK細胞がT細胞系に属するリンパ球であることが推測されるが,胸腺欠損のヌードマウスにNK活性が高いことなど種々の点で成熟T細胞とは異なっている.マウスの骨髄細胞由来の前単球にNK様活性があることや,ヒトの単球と共通の抗原がNK細胞に存在することから,NK細胞には単球,マクロファージ系の細胞が含まれる可能性が否定できない.
NK細胞はADCC(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity)によって標的細胞を障害する細胞と同一か,少なくとも重複する細胞集団に属する細胞であると思われる.ADCC作用はIgG・Fcレセプターを介して,NK作用はこれとは別の未だ性状不明のレセプターを介して,標的細胞に作用するとみなされている.
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