今月の主題 感染症と免疫
非特異的防御機構
インターフェロン
海老名 卓三郎
1
Takusaburo EBINA
1
1東北大学医学部・細菌学
pp.228-229
発行日 1982年2月10日
Published Date 1982/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217620
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インターフェロン(IFN)の種類
インターフェロンには,現在その抗原性の違いにより3種類があることが知られている(表).このうちIFN-αとβは遺伝子工学により,その遺伝子全構造が決められ,166個のアミノ酸から成り立っていることがわかった.先ほどの国際ウイルス学会で,IFN-βにおいて1つのアミノ酸が変わっただけで(141番目のcysがtyr)細胞への吸着ができず,抗ウイルス活性を示さなくなることが発表された.動物細胞で産生されたIFNは蛋白に糖がついた糖蛋白と考えられるので,遺伝子工学によって大腸菌で産生させたIFNが単純蛋白であることから,その生物活性が心配された.ところがGoeddelらは,人白血球由来IFNのDNAを,プラスミドのpBR 322に挿入し,大腸菌で産生させたIFNが脳心筋炎ウイルスのサルへの感染を防御したことを報告し1),糖がなくても生物活性があることがわかった.スイスのWeissmanのグループは,白血球由来のIFN-αと遺伝子工学によって得た大腸菌産生のIFN-αを,ワクシニアウイルスのサルへの感染系で比較したところ,ともに感染を防いだが,発熱などの副作用は大腸菌由来のIFNのほうが少ないことを示した2).すなわち,遺伝子工学によって大腸菌で産生させたIFN-α,IFN-βが臨床に使える見通しがついた.
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