今月の主題 心膜疾患の臨床
二次性心膜疾患
ウイルス性心膜炎
河合 忠一
1
,
琴浦 肇
2
Chuichi KAWAI
1
,
Hajime KOTOURA
2
1京都大学医学部・第3内科
2京都大学医学部中央検査部
pp.49-51
発行日 1980年1月10日
Published Date 1980/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216365
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はじめに
ウイルス性心膜炎は通常,急性疾患であり,従来特発性心膜炎(idiopathic pericarditis),あるいは急性良性心膜炎(acute benign pericarditis)といわれてきたものの多くがウイルス性であると示唆されるに至り,その頻度は決して稀ではないこと,大部分は心筋炎,少なくとも心外膜下心筋炎(subepicardial myocarditis)を合併することが明らかとなってきた.したがって,ウイルス性心膜炎は多くの場合,ウイルス性心筋心膜炎(viralmyopericarditis)と呼ばれるのが妥当であろう1).
ほとんどすべてのウイルスが心臓を侵しうる2).なかでもCoxsackie Bウイルスは小児・成人を含めての急性心膜炎,心筋炎の病原として重要な地位を占める3).診断の確定は心膜液や心筋からのウイルス分離が最も直接的であるが,咽頭ぬぐい液または糞便からのウイルス分離ないしウイルス抗体価の4倍以上の変動,あるいはまた患者の咽頭ぬぐい液または糞便から分離されたウイルスの動物接種実験などによってなされるが,これらを臨床例において実施することは多くの点で困難を伴う.またウイルス抗体価の測定といっても,検索できるウイルスの種類は限られているし,ウイルス分離の成功率も現時点では高くない.
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