臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集
VIII.血液化学検査
112.γ-グルタミールトランスペプチダーゼ
藤沢 洌
1
1慈恵医大第1内科
pp.1888-1889
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216216
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はじめに
γ-グルタミールトランスペプチダーゼ(γ-GTP,GGTP)は,γ-グルタミールペプチドを加水分解するとともに,γ-グルタミール基を他のペプチドやL-アミノ酸に転移する酵素(2.3.2.1)であり,健常成人では腎に活性分布が最も高く,膵がこれにつぎ,肝の活性はきわめて低く,これら臓器の活性比は100:8:4である.しかし,胎児期には肝活性は腎に匹敵する分布を示し,成長分化の過程で肝活性は漸減し,成人肝は胎児肝の1/30の活性を示すにすぎない.逆に腎活性は漸増して胎生腎の10倍に達する.この酵素の生理的意義については未だ定説はないが,膜系酵素として細胞内グルタチオンの分解と再合成に共範しながら,アミノ酸の転入と利用にあずかると考えられている1).肝組織では肝細胞のミクロゾーム分画で生成され,胆道系を経て排泄され,組織化学的には胆毛細管から門脈域の胆管上皮内に活性が分布する.膵組織ではacinusと膵管系に分布し,成人心筋にはほとんど活性を認めないが,胎児の心筋,心外膜の毛細血管内皮には活性を認める.
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