臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集
VIII.血液化学検査
113.酸フォスファターゼ(E. C. 3.1.3.2)
名出 頼男
1
1名保衛大泌尿器科
pp.1890-1891
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216217
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異常値を示す疾患
酸フォスファターゼの値は上昇する疾患のみが臨床的に問題とされる.最も高値を示すものは前立腺癌であるが,Stage AおよびB(前立腺被膜内のみに存在し,外部への浸潤および転移を示さないもの)では高値とはならず,また未分化癌も分化腺癌のようには上昇しないか,正常値にとどまる.前立腺癌以外の疾患で,軽度上昇を示すものは少なくないが,そのいずれも診断的価値は少なく,常に前立腺癌の疑いを持たせるものとして留意されるに過ぎない.また,これらのうち,泌尿器科医を受診する必要のある疾患,前立腺炎・前立腺肥大症などでは,前立腺の経直腸触診および前立腺マッサージ(前立腺分泌液を採取するために前立腺を経直腸的に圧迫する法)が行われ,これによって軽度上昇がみられることもある.
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