増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
血液生化学検査など
酵素,肝機能検査
γ-GT(γ-グルタミルトランスフェラーゼ),LAP(ロイシンアミノペプチダーゼ)
野村 文夫
1,2
,
澤部 祐司
1
1千葉大学医学部附属病院検査部
2千葉大学大学院医学研究院分子病態解析学
pp.199-201
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223252
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γ-GT
検査の概要
γ-グルタミルトランスフェラーゼ(γ-GT)はγ-グルタミル基をもつペプチドからグルタミル基をほかのペプチドやアミノ酸に移す酵素である.肝,腎,膵,脾,脳,腸など多くの臓器に存在しているが,血中の酵素蛋白は主に肝由来と考えられる.
血清γ-GTの異常高値が診断のきっかけとなる病態として,最も有名なのはアルコールの過剰摂取による上昇である.禁酒によりγ-GTが低下することはアルコール性肝障害診断基準における重要な一項目であり1),完全に禁酒すると2〜3週後には前値の50%程度に改善する.また,γ-GTはアルカリフォスファターゼ(ALP),ロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)とともに胆道系酵素と呼ばれ,肝内・肝外の胆汁うっ滞により上昇する.これら3酵素のなかで胆汁うっ滞の検出率はγ-GTが最も高いとされている.ただし,遺伝性肝内胆汁うっ滞のなかにはγ-GTが上昇しないタイプもある.中年女性が健診におけるγ-GTの異常高値をきっかけに原発性胆汁性肝硬変と診断されるケースも少なくない.
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