特集 これだけは知っておきたい検査のポイント
VIII.血液化学検査
γ-グルタミールトランスペプチダーゼ
藤沢 洌
1
1慈恵医大第1内科
pp.618-619
発行日 1975年3月20日
Published Date 1975/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205936
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成熟哺乳動物におけるγ-グルタミールトランスペプチダーゼ(γ-GTP)の臓器内分布をみると,腎に活性分布が最も高く,膵がこれにつぎ,肝の活性はきわめて低く,成人ではこれら3臓器活性は100:8:4である.しかし胎生期には肝のγ-GTP活性は腎に匹敵する分布をしめし,分化成長の過程で肝の活性は次第に減少し,成熟肝では胎児肝の1/30の活性を示すにすぎない.逆に腎の活性は次第に増して成熟腎では胎児腎の10倍の活性を示す.この酵素の生理的意義については未だ明らかでないが,腎組織では細尿管上皮細胞に局在してグルタチオンの分解と合成に共範しながらアミノ酸の細胞内への吸収と利用にあずかると考えられている1).肝組織では胆毛細管から門脈域の胆管上皮内に分布し,本酵素は肝細胞の顆粒分画で合成されて胆道系を経て排泄される2)。また膵ではacinusと膵管系に分布し,成人心筋にはほとんど活性が認められないが,胎児の心筋,心外膜の毛細血管内皮細胞には活性が認められる.
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