今月の主題 癌と免疫
免疫強化剤による治療
OK-432
木村 郁郎
1
1岡山大第2内科
pp.1020-1022
発行日 1979年7月10日
Published Date 1979/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215959
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
非特異的な免疫療法が実際に臨床に取り上げられたのはMathé1)がALLにBCGを使用した頃からであり,近年,この方面の研究は全世界の注目の的となっている.その非特異的免疫療法剤の一つである溶連菌剤は金沢大学の岡本2,3)らによって開発されたもので,古来,重篤な感染を契機として,悪性腫瘍が寛解に導かれることに端を発したものである.本剤の作用機序としては,筆者らが宿主の問題を取り上げるまでは,本剤による直接的な制癌作用が検討され,溶連菌が癌細胞のRNAを利用するために制癌効果が発揮される,いわゆるRNA効果によると考えられた.その後,筆者らはOK-432にhost mediateの作用のあることを見出し5,6),本剤が非特異的免疫療法剤であることを実証し,免疫化学療法に使用されるようになり今日に至っている.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.