臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
VI.内分泌疾患
2.バセドウ病治療の要点
バセドウ病の手術適応と術前術後の管理
野口 志郎
1
1野口病院
pp.2010-2011
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208234
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手術の適応
バセドウ病の治療法の選択には絶対的な適応はなく,個々の症例についてどの治療が有利であるかを考えて選択する.手術が有利な場合は,一言でいえば早く治したほうがいい場合である.すなわち,青壮年の患者の場合,遠隔地または僻地に居住していて外来通院治療が容易でない場合,さらには抗甲状腺剤に副作用がある場合などであり,手術が不利な場合は,10歳未満の小児や60歳以上の高齢者,すでに一度手術を受けて再発したものなどである.
抗甲状腺剤療法や放射性ヨード療法が,はじめに期待されたほどの効果がなく,手術療法の優秀性が近年再評価されてきた1,2).しかし,手術成績の良し悪しは外科医の伎倆と深く関係しているので,甲状腺の手術に熟練している外科医がいない場合には,手術成績はかなり劣悪となる.そのような場合には他の治療法を選択したほうが有利である.図は年齢階級別にみた抗甲状腺剤療法,手術,放射性ヨード療法の割合を示している.10代,20代,30代では手術が最も多く,40代以後になると放射性ヨード療法が多くなっている.この図は筆者らが1968〜1975年の9年間に大分県の患者に対して行った治療法の選択の例であるが,おおむね一般性のある選択になっていると思われる.40代以後になると手術が少ないのは,患者が手術以外の治療を希望する場合にはこの年齢層では積極的に放射性ヨード療法を行っているからである.
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