特集 術後1週間の患者管理
Ⅰ.術式別:術後1週間の患者管理
1.頸部手術
バセドウ病手術
三村 孝
1
1伊藤病院
pp.17-21
発行日 1995年10月30日
Published Date 1995/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902012
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
バセドウ病の治療には,手術療法のほかに抗甲状腺剤治療,アイソトープ治療がある.われわれは,バセドウ病手術の適応を「合併症のない若年者」に限定している.手術に対しリスクの高い症例は手術以外の治療法を選んでいる.バセドウ病手術は,術前に抗甲状腺剤を使用し,甲状腺機能を正常にして行う.他の甲状腺疾患の手術と同様の術後管理で何ら支障はない.強いていえば,バセドウ病甲状腺腫は血行に富むため,術後出血の可能性が他の甲状腺疾患手術におけるよりも高い.頸部はデッドスペースが少ないため術後出血は呼吸困難をきたし,早急の処置が必要となる.また,バセドウ病では骨飢餓の状態にあるものが多いため,手術を契機として血中カルシウムの骨吸着が促進し,一過性テタニーと呼ばれる低カルシウム血症の発生をみることがある.われわれは,巨大な甲状腺腫例,小児例などを除き,局所麻酔下に手術を行っている.手術時間も1時間前後であり,手術侵襲も少ない.手術は午後から行うので一晩はベッド上安静とするが,第1病日早期から歩行可とし経口摂取を始めている.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.