今月の主題 実地医のための臨床細菌学
細菌学的アプローチ
検査のすすめ方—検体採取から結果の解釈まで
高橋 昭三
1
1結核予防会結核研究所細菌血清
pp.930-932
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207931
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
感染症の症状の発現
感染の始まりは,病原微生物と宿主の食細胞の出会いである.そこで菌が喰菌され,あるものは死滅するが,あるものは増殖を始める.これが感染の成立である.
ここに食細胞が次第に集合し,菌と食細胞の混在,食菌による菌の減少,菌による食細胞の死,菌の増加が起こる.菌数の増加は細胞の集合をさらに促進し,そこに肉眼的な細胞の集団,すなわち病巣が成立する.この時期を発病といってよい.やがて食細胞により菌は処理しつくされ,感染症は終息するか,菌がその病巣から体内の他の部位に,リンパ路,血管によって移動し,新たな病巣をつくるかのいずれかが起こる.この過程で,感染部位(原発巣)には細胞浸潤による種々の症状があらわれる.ここでくい止められなかったとき菌血症が生じ,新たな症状が発現する.すなわち,感染による局所症状は感染の第一のサインであり,限局性であり,全身症状は明らかでないことが多い.
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.