今月の主題 実地医のための臨床細菌学
免疫学からみた臨床細菌学
野本 亀久雄
1
,
光山 正雄
2
,
見明 俊治
2
1九大癌研免疫
2九大微生物
pp.928-929
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207930
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はじめに
感染症をとりまく分野の中で,感染症の原因である微生物を検体から迅速,正確に分離同定することにより診断を確定し,またその菌の薬剤感受性,MIC測定により適切な治療法の選択を容易にすることを主眼として,臨床細菌学は急速に進歩しつつあり,またその確立が強く要求されている.ところで,生体は外来異物としての細菌に対して非特異的防禦機構,特異的免疫防禦機構を有しており,細菌の病原性・毒力など寄生体側が宿主側の防禦能をはるかに上まわるか,この防禦能が低下して寄生体側が優位に立つ場合に初めて感染症が成立する.近年,多数の抗生剤が相次いで開発・生産されてきたにもかかわらず,感染症が変貌しつつも,まったく減少傾向をみせない背景には,種々の原因による生体防禦能低下が大きな要因となっていると考えられる.
本稿では,宿主寄生体相互関係(Host-parasite relationship)という感染を成立させる基本的な条件を,とくに宿主の防禦機能を中心に考えたい.
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