今月の主題 消化・吸収の基礎と臨床
吸収不良症候群
日本におけるスプルー
平塚 秀雄
1
,
後町 浩二
2
,
豊田 利男
3
1平塚胃腸病院
2平塚胃腸病院外科
3平塚胃腸病院内科
pp.664-668
発行日 1978年5月10日
Published Date 1978/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207869
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はじめに
「日本におけるスプルー」という大変に大きな,しかも意義深いテーマを与えられた,"大きな"といっても,わが国での報告例は極めて稀であるので,数のうえでのことではない.従来,原発性吸収不良症celiac sprueは白人にのみみられる疾患であり,白色人種の血をひかない有色人種にはみられないとさえいわれてきた.それだけに,日本で報告されているこれら症例が果たして真のceliac sprueであろうかということに言及しなければならない責め,さらに食事の欧米化により今後増加する可能性が予想されることなどを併せ考えると,大変に大きな意義深いテーマといわざるをえない.
一方,celiac sprueの多い欧米においても,その報告頻度は臨床的関心によって地方別に,また病院別に予想以上のばらつきがあり,1例もみたことがない医師もいるという.ましてやわが国においては,まず先入観として本疾患がないと決めこむことなく,強い関心を示す心構えが望まれる.
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