カラーグラフ 消化管内視鏡シリーズ・21
小腸鏡
平塚 秀雄
1
,
後町 浩二
1
1平塚胃腸病院
pp.430-431
発行日 1977年4月20日
Published Date 1977/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206713
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1970年6月,われわれは世界に先駆けて初めて小腸鏡1号器を試作した.以来,町田製作所がファイバー小腸鏡fiber intestino scope(FIS),オリンパス光学社が小腸ファイバースコープsmallintestinal fiberscope(SIF)と名付けて,両社のみによつて開発,改良が続けっれている.その開発過程は,push方式,sonde方式,ropeway方式などの各種内視鏡挿入法に見合うべくそれぞれ研究が進められているが,いまだに完壁な方法は完成されておらず,挿入法に関してはなお五里霧中といつたところであろうか.しかし,われわれの考案したropeway法は腸ひも挿入という前処置のわずらわしさはあるが,経口的にも経肛門的にも全小腸へ確実に挿入され,観察,撮影は勿論のこと,あらゆる部位で必要に応じた鉗子生検が可能であり,小腸内視鏡検査の役割を十二分に発揮しているといえよう.
小腸鏡検査の適応は,小腸ファイバースコープの出現以前の直視下観察の全く考えられない数年前までは専ら機能的なびまん性病変を対象に,消化吸収の病態生理の解明が中心であつた.すなわち,比較的欧米に多いsprue,celiac,malabsorption syndrome,disaccharidase deficiencyなどのびまん性疾患の診断に対し盲目吸引生検法が広く普及していた.しかし,小腸ファイバースコープによる直視下観察,直視下生検が出現するや否や,小腸の癌,肉腫などの悪性腫瘍.またCrohn病,あるいは特異的,非特異的な小腸の潰瘍性病変の報告例も漸次増加の傾向にある.
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