特集 こんなにある薬剤性消化管傷害
小腸および大腸 アンジオテンシンII受容体拮抗薬によるスプルー様腸症
佐藤 公
1
,
岩本 史光
,
田中 佳祐
,
川上 智
,
久野 徹
,
津久井 雄也
,
小林 祥司
,
吉田 貴史
,
山口 達也
,
榎本 信幸
1山梨大学 医学部内科学講座第一教室
キーワード:
セリアック病
,
Olmesartan Medoxomil
,
小腸疾患
,
小腸潰瘍
,
小腸内視鏡法
Keyword:
Olmesartan Medoxomil
,
Celiac Disease
pp.945-949
発行日 2019年6月25日
Published Date 2019/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2019312040
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
オルメサルタンはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)に属し、2002年以降、降圧薬として本邦を含め世界各国で広く用いられている。2012年に初めてオルメサルタンに関連した「スプルー様腸症」の報告がみられ、2013年にはFDAおよび厚生労働省医薬食品局からも注意喚起がなされている。本疾患では、ほぼ全例に重度の下痢と体重減少がみられ、オルメサルタン内服開始から症状発現までの期間が平均2~3年と長く、休薬により速やかに改善する点が特徴である。内視鏡所見としては、小腸の絨毛萎縮、びらん・潰瘍がみられ、セリアック病との鑑別が必要となる。機序として、抗核抗体陽性およびHLA-DQ2/DQ8の頻度が高いことから免疫学的機序の関与が想定されており、セリアック病およびcollagenous colitisとの類似性が認められる症例も存在する。他のARBでも類似の報告があることから、ARBのクラスに共通した病態の可能性が指摘されている。
Copyright© 2019 tokyo-igakusha.co.jp. All rights reserved.