今月の主題 消化・吸収の基礎と臨床
吸収不良症候群
慢性膵炎にみられる吸収不良症候群
若杉 英之
1
,
木村 寿成
1
1九大第3内科
pp.660-663
発行日 1978年5月10日
Published Date 1978/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207868
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
発症機序
ヒトが摂取する食物の主要栄養素である蛋白質,脂肪および含水炭素は,いずれもその大部分は消化されたあとにpeptide,アミノ酸,脂肪酸,monoglycerideおよび単糖類として小腸から吸収される,一部は唾液amylase,胃lipase,pepsin,小腸disaccharidase,peptidaseなどの酵素も関与するが,大部分は膵外分泌液中の諸酵素により消化される.主な膵酵素を表1に示した1).蛋白分解酵素はzymogenないしproenzyme(trypsinogen,chymotrypsinogen,proelastaseおよびprocarboxypeptidase A,B)として不活性の状態で膵組織で生成され分泌され,十二指腸粘膜細胞のbrushborderに存在するenterokinaseによりtrypsinogenがtrypsinに活性化され,次いでtrypsinはchymotrypsinogen,proelastase,carboxypeptidaseなどを活性化し,またtrypsinogenはtrypsinによって活性化される.phospholipase Aも不活性の状態で分泌され,蛋白分解酵素により十二指腸内で活性化される.lipaseは水溶性であり,水-脂肪の境界面に作用するので,乳化によるこの境界面の増大が不可欠である.
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.