臨時増刊特集 診断基準とその使い方
VI.神経・筋疾患
パーキンソン病
清水 夏繪
1
1自治医大神経内科
pp.2004-2005
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207578
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概念
パーキンソン病は振戦・筋硬直・寡動を3主徴とする錐体外路系の変性疾患で,特発性パーキンソニズム,原発性パーキンソニズム,振戦麻痺などとも呼ばれ,1817年,James Parkinsonによりshaking palsyとして独立した疾患として記載された。病理学的には黒質緻密帯のメラニン含有細胞の変性,脱落およびLewy小体の出現,生化学的には尾状核,被殻のドーパミン含量の著明な低下が特徴であり,それがL-Dopa治療の理論的根拠となった.黒質線条体路はドーパミンニューロン系であって,黒質で作られたドーパミンが線条体へ送られる.錐体外路系にはセロトニン,GABA,substance P,ノルアドレナリン,ドーパミン,アセチルコリンなど種々の生物学的活性のある物質が多量に存在するが,パーキンソン病の病態生理にはとくにドーパミンとアセチルコリンが重要であると考えられている.ドーパミンは黒質,尾状核,被殻に,アセチルコリンは尾状核,被殻,淡蒼球に多量に存在する.パーキンソン病ではドーパミンが低下し,相対的にドーパミンとアセチルコリンの平衡がくずれて症状発現に関係するとする考えが多い.同様の症候は一酸化炭素やマンガンの中毒,向精神薬,変性疾患,大脳基底核の血管障害,腫瘍,炎症などでもみられ,それらは続発性パーキンソニズム,症候性パーキンソニズム,パーキンソン症候群と呼ばれている.
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