増刊号 Common Disease 200の治療戦略
神経・筋疾患
パーキンソン病
横地 正之
1
1東京都立荏原病院神経内科
pp.259-262
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904072
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疾患概念と病態
本症は1817年,英国の神経科医J.Parkinsonが「An Essay on the Shaking Palsy(振戦麻痺)』という小冊子を出版したことが疇矢である.しかし,長い間顧みられず,70年後の1888年,フランスのJ.M.Charcotがこの書物を激賞し,maladiede Parkinson(パーキンソン病)と呼んだ.本態を探る病理知見は,1913年Lewyによる細胞内封入体(Lewy小体)の発見,1919年Tretiakoffが本症の病理学的特徴は黒質の変性であることを明らかにし,1953年にGreenfieldらにより,黒質のメラニン含有細胞の変性・消失とLewy小体の出現が本症の病理所見として確立された.さらに1960年,EhringerとHornykiewiczにより本症患者の黒質-線条体ニューロンのdopamineが減少していることが発見され,本症の病理・病態プロセスが明らかとなった.直ちにdopamineの前駆物質であるL-Dopaの治療開発が始まった.
本症の発症年齢は55歳ないし65歳で,男女差はない.稀に10〜30歳台の若い発症もあり,若年性パーキンソニズムといわれている.有病率は欧米より下回るとされてきたが,人口構成の高齢化とともに,欧米に近い100以上であることが中島らの米子市の疫学調査で明らかにされた.神経難病の中では圧倒的に多い疾患である.
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