Japanese
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今月の主題 癌治療の最前線
化学療法
制癌剤の動脈内挿管投与法
intra-arterial infusion therapy
酒井 克治
1
1阪市大第2外科
pp.1117-1119
発行日 1977年8月10日
Published Date 1977/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207312
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はじめに
病巣部を栄養する主幹動脈内に直接薬剤を注入する動脈内注射法の歴史は古いが,この動注法は悪性腫瘍の治療にも応用できる.しかし,悪性腫瘍に対しては薬剤を頻回に,かつ長期問にわたって投与する必要がある.したがって,従来の動注法に従えば,そのつど動脈壁を穿刺しなければならず,その結果,動脈壁の損傷や感染,その他の重大な合併症を惹き起こす危険が少なくない.また,病巣の占める部位によっては,その栄養主幹動脈を穿刺することが困難な場合もある.
すでに1950年Kloppらは,悪性腫瘍の治療にあたって薬剤を動脈内に投与するために,poly-ethylene(PE)管を動脈内に挿入,留置し,この管を通じて制癌剤を投与する制癌剤の動脈内挿管投与法を考案して発表した.すなわち,このときには10例の末期悪性腫瘍患者にnitrogen mustardの動脈内挿管投与を行ったところ,8例において腫瘤の著しい縮小を認めたと報告している.その後,わが国においてもこの投与法の優秀性が認められて,悪性腫瘍患者の治療に広く応用されるようになった.
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