シンポジウム 骨肉腫の治療および予後
悪性骨腫瘍にたいする制癌剤動脈内挿管投与と手術との併用療法
赤星 義彦
1
Yoshihiko Akahoshi
1
1京大医学部整形外科
pp.539-549
発行日 1967年5月25日
Published Date 1967/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904239
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いとぐち
悪性骨腫瘍の多くは切断,関節離断ないし剔出術によつて局所腫瘍を完全に除去することが可能であるにかかわらず,肺転移をきたして早晩死の転帰をとるものが80%以上を占めている.ことに骨肉腫では前山によると5年生存率6.1%,死亡確認72例の平均超生率は術後9.6ヵ月であり,三木らの報告でも1年未満に55%が死亡し5年生存率5.7%が挙げられている.わたくしどもの教室で切断術が施行された34例(昭和37年以前)の切断後平均超生率は10.8ヵ月で1年以内に70.6%,2年以内に88.2%が死亡しており全く悲惨な予後を示している.
このことからみれば,臨床的に骨肉腫の診断を下し根治手術を行なう時期には,すでに大部分の症例で腫瘍細胞が流血中に游出し,肺転移を形成する条件が具つていると推定される.したがつて肺転移の形成を抑制し延命を期待するためには,局所腫瘍の制圧,切除と同時に制癌剤その他の全身的療法を併用する必要がある.
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