今月の主題 内科疾患としての先天性代謝異常
知っておきたいその他の代謝異常
薬理遺伝病
和田 攻
1
1東大衛生学
pp.957-959
発行日 1976年7月10日
Published Date 1976/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206650
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薬理遺伝病の概念
遺伝的障害に基づく酵素異常による疾患は一般に先天性代謝異常とよばれる.この場合,障害酵素の基質は生理的な内因物質で,その蓄積,ないし代謝産物欠乏により異常をきたすことになる.これに対し,基質が外来性のもの--薬剤など--の場合は,日常はなんらの病的状態も呈しないにもかかわらず,その酵素の基質となる薬物が投与されて初めて異常状態が出現する.この状態は,かつては薬物過敏ないし特異体質の範疇に入れられていたが,1957年,Motulsky1)により,薬理遺伝学の基礎が確立され,1959年にはVogel2)によって初めて薬理遺伝学(Pharrnakogenetik)という言葉が用いられ,次第に臨床家の注目を集めるようになってきた.
したがって,薬理遺伝病の定義は,厳密には薬物投与によって発見される薬物に対する反応の異常を示す遺伝病ということになる.
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