Japanese
English
特集 診療における薬理遺伝学検査の社会実装に向けて
精神科領域の薬理遺伝学
Pharmacogenetics of psychiatric disorders
波多野 正和
1
,
池田 匡志
2
Masakazu HATANO
1
,
Masashi IKEDA
2
1藤田医科大学医学部臨床薬剤科
2同精神神経科学
キーワード:
Precision medicine
,
ヒト白血球抗原(HLA)
,
cytochrome P-450(CYP)
,
臨床的有用性
Keyword:
Precision medicine
,
ヒト白血球抗原(HLA)
,
cytochrome P-450(CYP)
,
臨床的有用性
pp.701-704
発行日 2022年11月12日
Published Date 2022/11/12
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28307701
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精神科領域における薬理遺伝学的研究では,非精神科領域のそれと同じく,副作用に関連する研究が先行している.たとえば,カルバマゼピンとクロザピンの薬理ゲノム研究(PGx)では,それぞれ重症薬疹と無顆粒球症のリスク遺伝子がヒト白血球抗原(HLA)領域で同定された.さらには,その結果に基づいた前向き臨床研究や費用対効果分析により臨床的有用性を証明する結果が得られており,今後の臨床展開が期待される.他方,薬物代謝酵素であるcytochrome P-450(CYP)2C19およびCYP2D6の遺伝子多型は,抗うつ薬や抗精神病薬の血中濃度と関連し,種々の副作用リスクの上昇につながることがメタ解析において示唆されている.さらに,CPIC®ガイドラインには各薬剤の遺伝的リスクに応じた推奨投与法が明記されるなど,着実に社会実装に向けてのエビデンスが集積されつつあるが,わが国においてはハードルが高い.本稿では,精神科領域における薬理遺伝学的研究の現状と今後の展望について概説する.
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