皮膚病変と内科疾患 皮膚萎縮を主徴とする病変と内的異常・1
"発疹としての萎縮"を主徴とする皮膚疾患
三浦 修
1
1杏林大皮膚科
pp.706-707
発行日 1976年5月10日
Published Date 1976/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206576
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萎縮は表皮,真皮および皮下組織のそれぞれに見られるのみならず,それらの構成因子の個々の,たとえば結合織とか弾力線維のみにあらわれることもあり,またこれらの各組織が単独に萎縮を示す場合のほか,2,3の組織が同時に萎縮をきたしたり,逆に1の組織には増殖を,他には同時に萎縮をきたす事例もある.しかし"発疹としての萎縮"はこれとは少しく異なって,皮膚面がチリメン皺を示して光沢を帯び,つまむと薄く触れ,しばしば細血管が透見される状態をいい,すなわち視触診によって容易に確認しうる皮膚表面の変状に名づけられたものである.時にはこれに色素沈着や脱失を伴うこともあり,時に瘢痕との弁別に困難を覚えることもあって瘢痕様萎縮と呼称されることもある.なお萎縮は続発疹であるにもかかわらず,先天性萎縮などの名称が用いられている.萎縮に関しては,しかし,原発することはなく,少なくとも当初は真皮に炎症が先行すると解されている.
"発疹としての萎縮"を示す病型は,表皮と真皮の両者の萎縮を併発しているのを例とする.時には真皮か皮下組織に増殖性変化をきたし,そのため表皮の萎縮を誘発する例もある.
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