皮膚病変と内科疾患 皮膚萎縮を主徴とする病変と内的異常・2
発疹としての萎縮を伴わぬ萎縮性皮膚病変と内科疾患
三浦 修
1
1杏林大皮膚科
pp.860-861
発行日 1976年6月10日
Published Date 1976/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206620
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発疹としての萎縮を示さぬ皮膚萎縮とは,換言すれば,表皮の萎縮を伴わぬ真皮または皮下組織,あるいはこれら両者の萎縮である.その中に真皮を構成する1あるいは複数の因子のみの萎縮のこともあり,とくに弾力線維の萎縮が特色のある症状を呈する.これらの萎縮は先天性のこともあり,後天性または続発性のこともある.また病変の範囲に従って,全身性と局所性萎縮に分けられる.全身性萎縮に関しては栄養異常,老人性,悪液質性などがある.以下には,これらには触れずに,局所性皮膚萎縮の内的影響を有する事例について記する.
局所性萎縮であっても広範囲の場合,とくに四肢の皮下組織の萎縮などでは,患側の削そうがはなはだしく,著しい非相称を呈するし,体幹にあっては帯状や広い局面をなして陥凹するのを通例とする.ただし萎縮部位に他因子の増殖をきたして偽肥大を形成したり,弾力線維の萎縮の際には皮膚のヘルニアを起こして盛り上がることもあり,ともに患部が結節や腫瘤状をなす可能性がある.萎縮は一般には軟らかく触れる.しかし,基底が骨や腱などから成る場合には病巣は緊張して硬く感ぜられることもある.
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