臨床病理医はこう読む
血清蛋白分画像(5)
河合 忠
1
1自治医大臨床病理
pp.998-999
発行日 1975年5月10日
Published Date 1975/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206062
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β分画の明らかな増加
本症例のパターンでまず目立つ所見としては,βLが著明で高βリポ蛋白血症が考えられ,β分画の比較的幅狭い増加があり,しかもβ分画峰がα2分画峰より著しく高いのが特徴である.
セ・ア膜電気泳動法で分画された血清蛋白のβ分画は比較的変動の少ない分画である.β分画は主としてトランスフェリンによって占あられているので,β分画の著しい増減はまずトランスフェリンの変動に基づくと考えてよい.極あてまれにトランスフェリン欠損症がみられるが,その時はβ分画が著しい低値を示す.たとえば,先天性無トランスフェリン血症ではβ分画が4%以下,あるいは0.15g/dl以下になる.
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