緊急時の薬剤投与
慢性肝炎・肝硬変患者が肝昏睡に陥ったとき
涌井 和夫
1
1東北大第3内科
pp.995-997
発行日 1975年5月10日
Published Date 1975/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206061
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慢性肝炎や肝硬変症で,その経過中,発生する肝昏睡は,2,3の点で,急性肝炎の時の肝昏睡とは異なるものがある,昏睡の誘因が明らかにされうる場合,また昏睡の深化の過程が把握される場合が多い.それとともに,患者,その周囲,また医療関係者への比較的に負担の大きい,交換輸血をはじめとする各種方法がはたして適応とされるか否かの問題も加わる.保存的療法が重視されるわけであるが,またそれによる覚醒への期待も,比較的にではあるが,もてることが多い.慢性肝障害時には,合併する疾患の数が多い.また,それが昏睡の誘因とも重なり合う.したがって,多彩な病状を呈するのが一般であり,各症例への対応策は常に個別的なのであり,概説
することはむずかしい.要点の記述ということになろうが,付図を参照とされれば幸甚である.
肝昏睡例へのアプローチの第一歩は,常に鑑別診断である.脳血管障害,合併糖尿病によるもの,逆にインスリンや経口剤による低血糖発作など,昏睡をもたらしうる要因は多いので注意が必要である.
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