臨床病理医はこう読む
血清蛋白分画像(2)
河合 忠
1
1自治医大臨床病理
pp.230-231
発行日 1975年2月10日
Published Date 1975/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205792
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定型的な肝障害型血清蛋白分画像
血清総蛋白濃度は正常範囲にあり,alb分画とα2分画の減少に加えて,γ分画の幅広い増加がある.alb分画の軽度から中等度の減少はさまざまな病態でみられるので,それ自体はさほど診断的には重要な所見ではない.しかし,α2分画の減少は肝障害の重要な変化の1つである.
α2分画は多数の微量成分が集まって構成されている.たとえば,ハプトグロビン,α2-マクログロブリン,セルロプラスミン,α2-リポ蛋白,Gc-グロブリン,α2HS糖蛋白,などである.これらの成分のうちただ1つが単独に欠損していてもα2分画が有意の低値を示すことはない.α2分画が,本症例のように有意に低値を示すためには,上記の成分がいくつも減少傾向を示すことが必要となる.したがって,重症の肝細胞障害のように,ハプトグロビン,α2-マクログロブリン,セルロプラスミン,α2-リポ蛋白などが同時に低下する時にのみ認められるわけである.すなわち,α2分画が有意に低値であれば重症の肝障害があると考えてよい.しかし,α2分画の減少がないからといって肝障害を否定することはできない.ただし,ハプトグロビン単独についてみれば,その減少は肝障害度とかなり良い相関性を示す.
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