特集 これだけは知っておきたい治療のポイント
VII 神経
4.神経病治療の問題点
失語症患者の生活管理—いかに"コミュニケーション"をつけるか
竹田 契一
1
1伊豆韮山温泉病院
pp.1846-1847
発行日 1973年11月20日
Published Date 1973/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205133
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失語症を一言で定義すれば「コミュニケーションの障害」である.失語症では,一度獲得した言語機能が急激に破壊される.ここにこの疾患の特異性があるといえる.失語症とは,思つていることを話す力や書く力のみが障害されるのではなく,相手の話を聴いて理解する力,読む力,計算する力など言語機能全般に多かれ少なかれ障害は及んでいる.このように思いがけない事態に対して,患者のみならず,家族も大きな衝撃をうける.多くの失語症者は,コミュニケーション,家庭,職業など生活全般にわたって全く自分の意志通りにいかないことに気づき,次第に孤立化していく.患者の機能が回復し,自分の置かれている立場を認識すればするほど,それは悲惨なものになる.
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