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講座
失語症―4.失語症患者とのコミュニケーションのとり方
Communication with Aphasic Patients
遠藤 尚志
1
Takashi ENDOU
1
1東京都養育院付属病院士
1The Yoikuin Tokyo Metropolitan Hospital.
pp.575-580
発行日 1978年8月15日
Published Date 1978/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101739
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Ⅰ.はじめに
失語症によってもたらされる言語機能の障害は,「話す」「聞く」「読む」「書く」などすべての言語様式に及び,その結果,患者は周囲とのコミュニケーションの手段を奮われることとなる.コミュニケーション障害の内容は,失語症のタイプ,重症度,本人の背景などによって多種多様であるが,それによって周囲の人のコミュニケーションのとり方や接し方は異なってくる.しかも失語症患者においては,意欲,感情,過去の記憶,見当識など正常なコミュニケーション過程の前提となる精神活動は保たれているので,患者と周囲との間に有効なコミュニケーション方法が確立されていないと,しばしば患者はフラストレーションに陥り,時には心理的不適応を起す場合もある.また,看護婦やPT,OTなど医療スタッフの働きかけが充分に患者に理解されないため,医学的治療やリハビリテーションがうまくゆかない場合もある.失語症患者と周囲の者との間に有効なコミュニケーション方法を確立するには,患者自身のコミュニケーション障害の内容や性質を十分に理解し,これに基づいた接し方を工夫する必要がある.本稿では,まず失語症によるコミュニケーション障害を列挙し,次に失語症患者とのコミュニケーションについて一般的な注意事項にふれ,最後に主なタイプに応じた接し方について述べる.
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