臨時増刊特集 日常役立つ診療技術
診断篇
XI.代謝系疾患の診断技術
1.先天性代謝異常症のスクリーニングテスト
大浦 敏明
1
,
一色 玄
2
1大阪市立小児保健センター第1内科
2大阪市立小児保健センター内科
pp.817-821
発行日 1970年5月20日
Published Date 1970/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203165
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
先天性代謝異常症のスクリーニングテストの究極的な目的は,早期発見・早期治療によって,その発症を予防することにある.このためには,すでに外見的に異常を呈しているもののみならず,外見的には異常を認めない多数の乳幼児についての集団検査が必要である.したがって,その検査は,一時に多量の検体を処理しうる簡便な検査が必要であり,しかも治療もしくは予防可能なものが優先されることになる.われわれは,Berryらの呈色反応を主体としたもの,GuthrieらのInhibition assay,尿・血液の一次元濾紙クロマトグラフィーなどを組み合わせて種々の代謝異常症のスクリーニングを行なっている.
もとよりこれらの方法は,多岐にわたるこの種疾患の一部のものに対するきわめて荒いふるい分けであって,その結果のみでは先天性代謝異常症の有無を結論づけられないものが多い.またこれらは主として定性反応であって,術者の主観や習熟によって大きく影響されるものである.もし,これらの検査結果が陽性に出れば,さらに2次スクリーニングによって確定診断に到達する必要がある.また脂質代謝異常症に対しては適切なスクリーニング法がなく,もっぱら臨床所見に依存している現状である.
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.