新しい視点をさぐる 新生児異常の診断技術
先天性代謝異常のスクリーニング
蒲生 逸夫
1
,
本村 道賢
2
Itsuo Gamo
1
,
Doken Motomura
2
1兵庫医科大学小児科学教室
2大阪予防医学協会
pp.755-759
発行日 1978年10月10日
Published Date 1978/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205907
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先天性代謝異常は生化学的奇形ともいうべきものである。一般にまれと考えられていたが,近年の生化学的研究の進歩とともに,新たな種類が次次と発見解明されている。そして,従来「生まれつき」とか「体質」といわれて,「不治の病」として取り残されてきた分野や,主に臨床症状によって分類されてきた疾患,たとえば脳性小児麻痺,精神薄弱,発育障害などの中に,先天性代謝異常が潜んでいる可能性が考えられる。さらに,先天性代謝異常の多くのものは,身体的異常だけでなく精神薄弱をも伴うが,早期診断,早期治療によって,その予防を望むことができるようになっている。
先天性代謝異常は遺伝する。すなわち,病的遺伝子に対応して,酵素異常(—遺伝子—酵素説)または酵素活性を持たないが,重要な機能を持つ蛋白分子(アルブミン,グロブリン,ヘモグロビンなど)の構造異常が起こり,その結果,各種の生化学的異常や臨床症状が出現するものと考えられる。
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