増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集
尿検査
13.先天性代謝異常症のスクリーニング
大和田 操
1
1日本大学医学部・小児科
pp.1652-1654
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222702
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●スクリーニング方法と異常を示す疾患
先天性代謝異常症(inborn errors of metabolism,以下IEM)のスクリーニングは,疑わしい症状を認める症例に行うスクリーニング(ハイリスク・スクリーニング)と早期診断を目的としたマス・スクリーニングに大別される.ハイリスク・スクリーニングとしては,表1に示す尿の呈色反応を利用した簡易テスト1)が広く使用されてきたが,最近では種々の器機分析が普及し,より詳細な検討が可能となったため2),簡易テストの診断的意義は薄れつつある.しかし,治療中の患者のコントロールの良否の簡易判定法として,これらのテストは有効に使用されている.また,臨床検査として日常一般的に行われている血液検査においても,表2のようなIEMのスクリーニングが可能である.
一方,有効な治療法と確実なスクリーニング法があり,しかもある程度の頻度をもつIEMに対しては,無症状のうちに一般人口集団の中から患者をすくい上げる方法―マス・スクリーニング―が行われている.わが国でも表3に示す疾患がその対象として取り上げられており,その成果が報告されている3).
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